研究

失敗することの大切さ

| 投稿者: 機械工学科

皆さんこんにちは。

材料グリーンプロセス研究室(古井・加藤研究室)に所属する、機械工学科4年の阿部真之です。

私は「学士・修士一貫早期修了プログラム」という、いわゆる飛び級制度を申請したため、まわりの同級生よりも早く卒業研究を始めており、直近の夏休みから新学期までの半年間ほど研究をしました。

そこで、その半年の間に私が研究を進めていく上で最も大切だと感じたことを話していきたいと思います。

 

ここでまず、私の研究テーマについて説明します。

私は「塩水浸漬その場引張試験によるマグネシウム合金の真の引張特性の測定」という研究を行っています。

塩水浸漬その場引張試験というのは、塩水と反応して腐食した金属を、塩水から取り出すことなくその場で引張試験を行うユニークな試験法です。

また、引張試験とは金属を両端から引っ張り、徐々に力を加えていき、ちぎることでその金属の引張荷重に対する抵抗力を測定する試験です。

下の写真は引張試験の開始前の様子で、中央に固定してあるI字形の金属の薄板を上下に引っ張ることができるようにしています。

 

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引張試験前の試験機の様子

 

私は最初、その場引張試験を行うために、試験機に取り付ける治具を設計しました。

下の図は実際に私が設計した治具の組立図です。

 

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設計した治具の組立図

 

材料が実際に手元に届き、いざ治具の製作を始めようとしたときに問題が発生しました。

引張試験中に治具が壊れないよう強度が高い金属を選択したところ、大学にある工作機械では加工することができませんでした。

この経験から、使用する金属を選ぶ際には、強度のほかにも様々な性質を深く理解する必要があることを学びました。

 

そして、外注によって加工を依頼し、治具が完成した後も問題がありました。

それは、設計した部品を試験機に取り付けることができなかったことです。

私は先輩の図面を参考に治具を設計したのですが、先輩が製作した実物の治具をよく観察すると、後から加工して試験機に取り付けられるようにした跡が見つかりました。

この経験から、ひとつのものに頼って設計するのではなく、実物があるならそれを確認し、治具を設計した人がいるなら聞いて、多くの根拠をもとに設計を行うことが大切であることを学びました。

そして、新しいテーマで研究を進めるときこそ、先生や先輩の体験談をよく聞き、自身の研究に活かせることがないかを考える温故知新の精神の重要性も学びました。

 

以上のように引張試験を行う前の段階ですでに私は多くの失敗をしました。

失敗は成功のもと。

昔からよく言われる言葉ですが、研究にも当てはまります。

研究は失敗することが多く、たとえ失敗を重ねても、それらの失敗から何を学び改善するのかを考えることは成功以上に価値があります。

失敗したからといってくじけず、冷静に対処することが将来の成功をもたらします。

失敗は研究を進めるうえで避けては通れません。

しかし、何が要因となってそれが起こったのかを正確に把握することができれば、同じミスを防ぐことができますし、私の経験を話すことでまわりの人みんなの失敗を防ぐことにつながります。

事実、材料グリーンプロセス研究室のメンバーが同じように治具を作ることになった際に、参考として自身の経験を伝えることができました。

研究室とはそういった失敗を乗り越えて得た知識・経験を記録し、メンバーと共有することで蓄積していく場です。

ここで最も悪いのは、同じ失敗を繰り返すことや、失敗を恐れて何も行動しないことです。

皆さんが研究をするときはたとえ失敗したとしてもあまり気にすることはありません。

むしろその回数が多いほど自身の研究の深みが増していくでしょう。

なぜなら、知識や方法などは事前にインターネットなどで検索し調べることができますが、実際にやってみて失敗したという経験は検索してもヒットすることがない自分だけのものだからです。

 

今回は私が半年間の卒業研究を通して大切だと感じたことをお話ししました。

私の研究は道なかばで終わりが見えません。

この先も色々な失敗をし、様々なことを学んでいくでしょう。

研究で得た経験を私の人生で活かしていくために、 さらにがんばっていきたいと思っています。

 

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

 

 

 

韓国で開催されたISIS2023に参加しました

| 投稿者: 機械工学科

皆さん、안녕하세요(こんにちは)!

ヒューマンセントリックモビリティ(禹)研究室に所属しています、機械工学科4年の曽根と阿部です。

 

韓国の光州(クァンジュ)で昨年126日から9日まで開催されたThe 24th International Symposium on Advanced Intelligent SystemsISIS2023)に参加しました!今回はISIS2023に参加した際の様子などについてお伝えします。

 

移動の関係で学会初日のWelcome Reception(懇親会)には参加せず、2日目から参加しました。2日目は私たちの発表はなかったため、他の参加者の発表やPlenary Talk(特別講演)を聞く日でした。発表は英語で行わるため、理解するのが難しいと感じる場面も多々ありましたが、スライドの図などで何とか理解できるよう必死になって聞いていました。

 

3日目はPlenary Talk(特別講演)を聞いた後、シティツアーに参加しました。このシティツアーは学会が開催しているもので、学会参加者は無料でツアーに参加することができます。ツアーではアジア文化センターAsia Culture Center)とG.MAPGwangju Media Art Platform)に行きました。

 

アジア文化センターでは様々な地域の歴史が記されているコーナーやVR機器を用いて生活を対できるコーナーなどがありました。民族の踊りが体験できるコーナーでは音楽ゲームのように上から降ってくるノーツに合わせて体を動かすことで楽しく簡単に踊りが体験でき、非常に楽しかったです!

 

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図 1 各地域の踊りを体験できるコーナー

 

G.MAPでは、メディアに関連した様々なアートを見ることができました。ブラウン管を組み合わせたビデオアートのようなものや、古い機材を用いたロボットの形をした作品などがありました。図2のロボットピエロの作家であるナム・ジュン・パイクは「ヴィデオ・アートの父」と呼ばれた現代アーティストだそうです。

 

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図 2 ロボットピエロ(ナム・ジュン・パイク作品)

 

また、この日はBanquet(宴会)がありました。Banquetでは韓国の伝統的な踊りや歌などの出し物を見ながら、同じテーブルに座った韓国の学生と交流をしました。

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図 3 Banquet会場

 

学会最終日の4日目はついに発表の日です。曽根は Designing an Interactive Robot Interface for a User-friendly Information Support System”というタイトルでARとスマートホームシステムを用いたユーザ支援についての発表を行いました。阿部は Proposal of a Human-centric Robot Character Design Support System”というタイトルでロボットのキャラクターデザインに関する発表を行いました。

発表自体は十分に練習していたため予定通りに行うことができましたが、質疑応答ではうまく答えられないことも多くあり、もっと上手い表現ができればと思う場面が何度もありました。

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図 4 発表の様子

 

発表が終わった後は翌日の帰国に備え、光州からソウルを経由して仁川空港の方面へ観光も挟みつつ移動しました。

 

さて、ついに最終日。学会参加だけでなく現地の町や文化を見て回るのも勉強、ということで朝早く起きてソウル観光へ。ソウル駅を中心に何か所か観光しました。

 

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図 5 ソウル 興礼門

 

あっという間の45日。学会での貴重な体験はもちろん、文化の違いなどを肌で感じることができました。もっと英語が上達したらさらに楽しめるだろうなと思う場面も多々あり、コミュニケーションの重要性を実感する日々でした。

 

今回の学会では「Best Presentation Award」を受賞致しました。英語の発表資料や原稿を作成し発表を行うことはかなり大変でしたが、いい結果を得ることができたため挑戦してよかったです。

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6 本学会で「Best Presentation Award」を受賞しました

 

また、今回の学会で知り合った韓国の大学の先生と学生が126日に本学に見学に来てくださいました。その際に一緒にご飯を食べ、お互いの研究やISIS2023に参加したときの話などをして交流を深めました。学会をきっかけに新しい交流ができるというのも大きな魅力だと感じました。

 

最後に、本研究はJSPS 科研費(若手研究)23K17261 の助成を受けて実施されました。この場を借りて御礼申し上げます。

学会に参加してみよう! ─私が参加したふたつの国際学会─

| 投稿者: 機械工学科

みなさん、こんにちは。

材料グリーンプロセス研究室に所属している大学院工学研究科サステイナブル工学専攻2年の岡崎颯太です。

 

みなさんは「学会」に参加したことはありますか?

学会は各分野の研究者、学生、企業などが自らの研究成果を発表し、議論や意見交換、研究者同士で交流をする場です。

最新の研究成果をお互いに知ることができ、さらに意見交換をすることで今後の研究・実験のヒントを得ることができる,研究者同士のつながりを作ることができるなど学会発表には非常に多くの利点があります。

特に研究活動のスタートラインに立つ私のような大学院生にとって、非常に多くを学ぶことのできる機会となります。

 

今回は、私が参加した国際学会2件についてお伝えしたいと思います。

 

THERMEC’2023202372日~77日)

1件目はオーストリア・ウィーンのウィーン工科大学で開催されたTHERMEC’2023です。

THERMEC’2023の正式名称はThe International Conference on PROCESSING & MANUFACTURING OF ADVANCED MATERIALS Processing, Fabrication, Properties, Applicationsといい、先端材料のプロセスなどに関する国際会議です。

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オープニングセレモニーの様子

 

THERMEC’2023は今年から対面での発表が復活したので、指導教員である古井光明先生・加藤太朗先生と共に現地オーストリアへ向かいました。

自分としては初めての海外だったので、非常に緊張しながら発表や渡航の準備を行いました。

THERMEC’2023ではPoster PresentationのStudent Postersというカテゴリで発表しました。

研究を行う学生がポスターを用いて自身の研究成果を発表するカテゴリです。

私は「Factor for improvement of plastic workability in magnesium alloy pipes through processing by torsion and back-torsion」というタイトルで、マグネシウム合金のねじり・ねじり戻し変形による特性改善効果についての発表を行いました。

ポスターセッションがスタートすると、各大学の先生方、企業の方、また学生のみなさんがポスターを自由に見て回り、気になった発表に対して質問を投げかけます。

私の発表は材料にマクロな変形を与えて特性を向上させるというわかりやすい内容であったこともあり、興味を持っていただけることができました。

そのなかで質問もいくつか受けましたが、即座に英語で返答するのは非常に難しく、ジェスチャーなどを交えながらどうにかすべての質問に返答することができました。

その一方で、自分の意図を正確に伝えられるような英語力を身につけるべきだと痛感しました。

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ポスター発表会場の様子

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ポスター発表後の記念写真

 

さて、国際学会では研究発表以外にも異国の文化に触れることも大切な勉強です。

オーストリアはヨーロッパのちょうど真ん中、東欧諸国と隣り合うような場所に位置しています。

周辺にはドイツ,スイス,チェコ,ハンガリーなどがあります。

またウィーンはオーストリアの首都で、音楽の都として有名です。

オーストリアの公用語はドイツ語なので、街中の標識や看板はドイツ語表記で読めないものばかりでした。

しかし、お店などでのコミュニケーションは英語で問題なく行うことができました。

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左:駅看板。発音符号のウムラウト(この写真ではü)やエスツェット(ß)が特徴的

右:オーストリア特有のEINBAHN(一方通行)標識

 

ここで観光した名所の中から1つご紹介します。

ウィーン市街にあるカールス教会(Karlslirche)です。

バロック建築特有の豪華かつ曲線のあるデザインで、これぞヨーロッパ!といったような外観です。

内装も非常に豪華で、特に祭壇は光の差し込み方まで計算されたようなデザインで圧倒されました。

その他にもシュテファン大聖堂やシェーンブルン宮殿なども見学しました。

いずれも日本とは全く異なる文化をひしひしと感じることができました。

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カールス教会の外観

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カールス教会の祭壇

 

iDECON/MS2023202391日~92日)

2件目は慶應義塾大学日吉キャンパスで開催されたiDECON/MS2023です。

iDECON/MS2023の正式名称はInternational Conference on Design and Concurrent Engineering & Manufacturing System Conference 2023といい、コンカレントエンジニアリングや製造システムに関する国際学会です。

マレーシアで生まれた学会ということで、参加者の方もマレーシアの方が非常に多かったです。

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慶應義塾大学日吉キャンパス入口

 

iDECON/MS2023は対面とオンラインのハイブリット形式で開催されました。

私は1日目はオンラインでの聴講,2日目はキャンパスまで足を運び、対面での口頭発表を行いました。

口頭発表はパワーポイントのスライドを使用しながら、口頭で自身の研究成果を発表する形式です。

私は「Effect of various conditions on deformation twin formation by torsion and back-torsion」というタイトルで、マグネシウム合金にねじり・ねじり戻し変形を与えた際に形成される変形双晶の形成量についての発表を行いました。

口頭発表はポスター発表と違い、発表の制限時間が定められているため、発表時間を超えないようにする必要があります。

また、聴者全員の視線が発表者へ向けられるため、ポスター発表と比べて非常に緊張感がありました。

加えて、質疑応答も質問に対してきちんと返答しなければならないので、ポスター発表の際の会話形式での返答とはまた違った難しさがありました。

 

学会では他の研究者から客観的な意見や指摘をいただけるため、自身の研究を見つめ直す貴重な機会です。

さらに海外で開催される国際学会であれば、楽しく異文化にも触れることができます。

チャンスは逃さず積極的に参加し、研究成果を発表してみましょう!

そして、自らの人生観や価値観をさらに高めていきましょう!!

 

2023年 第2回 ものづくり研究会に参加しました

| 投稿者: 機械工学科

皆さん、こんにちは!

ヒューマンセントリックモビリティ(禹)研究室に所属しています、機械工学科4年の曽根優夏です。

先日1020日に北海道で行われた電気学会ものづくり研究会に参加してきました。

 

発表前日には石狩湾新港発電所の見学会に参加させていただきました。石狩湾新港発電所は2019年から運用開始された新しい発電所で、北海道電力初のLNG(液化天然ガス)を燃料とした火力発電所です。見学会では指令室やタービンフロア、屋上に出て周囲の施設についての説明などを受けました。この発電所は海沿いの非常に風が強い場所にあり、風が強すぎて冬にはホワイトアウトしてしまう日もあるとか

 

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図1 石狩湾新港発電所 タービンフロアの様子

 

見学会の後少し自由時間があったため、ロープウェイに乗って天狗山に登りました。この天狗山は小樽市街を見下ろすことができる山で、北海道の三大夜景の一つに選ばれているそう。山頂駅付近にある展望台からは小樽の町を一望することができました!

 

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図2 天狗山 展望台からの景色

 

その後、懇親会が行われ翌日の学会に参加する方を含めた様々な企業の方に、普段の仕事内容やメリットデメリットなど様々なお話を伺うことができ、とても良い経験になりました。

 

さて、学会当日です。私は「拡張現実感技術を用いたユーザの生活支援システム開発」というタイトルで発表を行いました。

 

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3 発表の様子

初めての学会ということもあり非常に緊張したものの、何とか発表を終えることができました。質疑応答では、研究に対する質問や説明が不足している点などをご指摘いただきました。

 

今回参加した学会では唯一の学生ということもあり、他の方の発表を聞いて学ぶべき点などが多く見え、非常に良い経験となりました。発表でご指摘いただいた点などを今後の研究や発表に活かしていきたいです。

 

最後に、本研究はJSPS 科研費(若手研究)23K17261 の助成を受けて実施されました。この場を借りて御礼申し上げます。

卒業課題Ⅰポスター発表会までの卒業研究を振り返って

| 投稿者: 機械工学科

皆さん、こんにちは。

古井光明先生・加藤太朗先生の材料グリーンプロセス研究室に所属しています、工学部機械工学科4年生の山本樹です。

東京工科大学ではすでに後期が始まっていますが,皆さんはどのようにお過ごしでしょうか。

 

このブログでは、8月4日(金)に行われた機械工学科の卒業課題Ⅰポスター発表会と、それまで卒業研究に取り組んだ内容について振り返りたいと思います。

大学入試に向けて進学先を選択する高校生,所属研究室を選ぶ機械工学科3年生の皆さんは、ぜひこのブログを読んで大学4年生の卒業研究の不安を解消していただけたらうれしいです。

お付き合いください。

 

材料グリーンプロセス研究室は、金属,音響,CMCの研究テーマに合わせて3つのグループに分かれています。

私は、金属グループでねじり・ねじり戻し加工した機械構造用炭素鋼S15Cの引張特性というテーマで卒業研究を行っています。

このテーマは、棒状材料の強靭化が可能な「ねじり・ねじり戻し変形」を機械構造用炭素鋼S15Cに適用し、引張特性に及ぼすねじり条件の効果やミクロ組織の変化を明らかにするものです。

コンクリートをより強靭化する鉄筋の開発などへの応用が期待できます。

 

これまでの卒業研究の道のりを2023年4月から時系列的に説明します。

 

<4月・5月>

私は、3年生までに卒業課題Ⅰ・Ⅱ以外の卒業要件単位をすべて取得し、卒業研究の実施と並行して、就職活動に専念することができました。

3年生の創成課題等で、企業説明会や模擬面接などのような就職活動を4年生に進級する前から行っていました。

模擬面接では古井先生や先輩からフィードバックを受け、自分の面接は何が良くて、何が悪いのか、またそれはどのように改善すればよいのかを的確に指摘して下さるため、面接本番に向けて何を・どのように意識して取り組めばよいかがわかりました。

その結果、5月には就職したい企業から内定をいただくことができました。

卒業研究ではテーマを選定し,先輩の卒業論文や他の研究者の学術論文を読み進めて、研究の背景や目的を見定めました。

また、実験装置の使用方法や注意点は古井先生や先輩から教えていただき、実験をスタートさせました。

 

<6月・7月>

試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ実験データが出始めました。

私は実験で使用する材料の到着が遅れたため、他の研究室メンバーに比べて研究の進捗度が遅れていました。

また、材料到着後に行った引張試験片の製作方法等の検討にも苦戦し、なかなか自身が思い描いたように結果が出ないこともありました。

しかし、トライ・アンド・エラーを繰り返すことで学べることや、新たな発見につながりました。

引張試験片の加工に使用するフライス盤やワイヤー放電加工機の適正な操作、特に、自身や工作機械の安心・安全には細心の注意を払い、ヒヤリ・ハットを少なくすることがエンジニアにとってとても大事なことを身をもって体験しました。

研究はトラブルを想定して先行して行うこと,研究室のメンバーと協力し合い、失敗を重ねてもコツコツと計画的に行うことが重要だと感じています。

企業でのものづくりも同様で、知恵や工夫を出し合いながら共働・共創した方が楽しいし、良いものができると思います。

 

<8月>

前期末の8月に行われるポスター発表会は、卒業研究の背景や目的,実施事項および結果・考察,卒業課題IIに向けた計画について、ポスターにまとめて発表します。

卒業課題Ⅰの単位取得・成績評価に関わる重要な発表会です。

ポスター原稿はストーリー立ててプレゼンテーションできるように、図や表を用いて詳しく丁寧に、かつ定量的に説明できるように制作します。

材料グリーンプロセス研究室では8月4日(金)の本番前に何度も発表の練習を行い、古井先生・加藤先生から文字の一字一句に至るまでの指摘やアドバイスをいただき、ブラシュアップを重ねます。

ポスター発表会では、専門分野が異なる人に向けて発表することで自分の研究の理解を深めました。

また、様々な指摘や意見・アドバイスをいただき、研究の方向性の幅を広げることができました。

 

いかがでしょうか。

機械工学科4年生前期の流れがイメージできたでしょうか。

卒業研究は大学生生活の集大成です。

卒業課題Ⅰの経験を活かし、常に前向きに取り組み、残り半年の学生生活を充実したものにしていきたいと思います。

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

韓国で開催されたIFSA2023に参加してきました

| 投稿者: 機械工学科

 皆さん 안녕하세요(こんにちは)!

 ヒューマンセントリックモビリティ(禹)研究室に所属しています、機械工学科4年の松本 千冬です。

 先日、韓国の大邱(テグ)で820月から23日まで開催されたThe 20th World Congress of the International Fuzzy Systems Association (IFSA2023)で研究発表を行いました。日程としては、19日から25日まで67日の長い旅路でした。

 学会に参加するまでに、論文を3月頃から書き始め、4月に提出し、その後Reviewが返却され修正、最終版の投稿や発表のためのスライド、原稿作りなどを含めて、約半年もの長い時間を要しました。そんな長い時間を要して参加した学会での経験や雰囲気などを皆さんに共有したいと思います。

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図1. IFSAの看板前で一枚

 

 それでは、まずメインイベントの学会について話そうと思います。

 学会初日は、Welcome Reception(懇親会)のみでした。禹先生は挨拶回りをしており、その間、自分は韓国の先生のご厚意により、韓国の学生と交流する機会を設けていただきました。自分は英語が得意ではなく、あまり会話はできませんでしたが、それでも海外の学生と交流を深め、また英語で会話するなど、国際学会ならではの貴重な経験ができました。

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図2. Welcome Receptionの会場

 

 学会の2日目から発表が始まり、この日は私自身の発表はありませんでしたので、他の人の発表を聞くことができる日でした。テーマごとに部屋が2つに分かれており、さらに時間によってもテーマが変わるため、パンフレットに書かれているアブストラクトやテーマを参考にして、2つの部屋を行き来しながら1日を過ごしました。発表は英語で行われ、理解に苦労しましたが、スライドの図や翻訳機を活用して何とか理解しようと努力しました。

 そして学会3日目、ついに自分の出番です。自分は「Development of a User-friendly Interface for a Smart Home System based on IoT Technology」というジェスチャとスマートフォンを用いたIoTシステムに関する発表を行いました。発表自体は2~3週間程前から練習をしていたため、何とかなりましたが、その後の質疑応答では、ジェスチャの種類について、ジェスチャを認識するためのカメラとその位置や認識率について、質問を頂きました。聞かれている内容は難しくなくとも、やはり緊張などから聞き取れないことが多く、また、理解しても言葉が出てこず、苦戦しました。そのため、禹先生の助けを何度か借りることがありました。

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図3. 発表の様子

 

 また、3日目の終わりには、Banquet(宴会)がありました。このBanquetでは、豪華な食事と共に、学会の主催者の話や表彰式など学会の締めとなる催し物が行われました。このとき、自分の隣にはWelcome Receptionで話した韓国の学生が座り、発表の出来や料理についてなど、初日に比べ、緊張が無くなっていたのか、会話の量が増え、結果として、一緒に写真を撮影して、メールアドレスを交換しました。

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図4. Banquetの様子

 

 さて、国際学会に参加するということは、何も発表だけではありません。その土地を見て回って、異なる文化に触れるのも勉強の1つだと思います。なので、ここからは大邱を見て回った話をしたいと思います。

 まず、大邱は韓国の「第3の都市」で、釜山の北西方面の離れた位置しています。私が滞在したエリアは、大邱で一番の繁華街である「東城路(トンソンロ)」に近接しており、特に若い人々で賑わっていました。この地域は、飲食店が多く点在しており、実際、先生と一緒に何度か東城路で食事を楽しんだこともありました。勇気が出なくて1人では1回も行きませんでしたが…

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図5. 東城路の街並み

 

 また、大邱の北に位置する「Donghwasa」というお寺を訪れました。Donghwasaは新羅時代に建てられた歴史あるお寺で、日本の寺院とは異なり、非常に鮮やかで美しいものでした。

 さらに、Gatbawi Rockという石像も見に行きました。Gatbawi Rockを見るには1365段の階段を登る必要があり、登る途中、ひたすら息を切らせながら頂上を目指しました。登った先にあるGatbawi Rockは一度だけ願いをかなえてくれると言われているため、自分も就活がうまくいくように祈りを捧げてきました。日本語で祈っても叶えてくれるか分かりませんが…

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図6. Gatwabi-Rock

 

 そして、6日目には大邱大学校(Daegu University)の教授のご厚意により、大学見学させていただきました。大邱大学は総合大学ということでとても広く、八王子キャンパスの約7倍もあります。そのため、校内の移動手段として電動スクーターが校門でレンタルできるほか、校内には路線バスが運行していたりと、その広さが分かると思います。

 時間の都合により、すべての施設を詳細に見学することは出来ませんでしたが、自動運転の走行試験場や共同研究している企業のオフィスなど、本学には無いものを見ることが出来ました。

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図7. 大邱大学校の校門(めちゃくちゃデカい)

 

 ちなみに、大邱に滞在中、基本的に移動手段はバスでしたが、そのバスの運賃は驚くほど安く、始点から終点まで行っても120円、特急バスでも160円という価格で、乗り換えるとその後のバス代は無料という訳分からない安さです。ちなみに、乗り換え先が電車でも適用されるらしいです…。

 また、コンビニの価格も非常にお得で、例えば500円ほどのレトルト食品を2つ買うと1つ無料、カップ麺を購入すると水がついてくるなど、こちらも訳分からない安さです。

 この1週間、「もっと英語を勉強して行けば…」や「積極的に声を掛ければ…」など後悔もありますが、韓国や大邱の歴史、文化を学びつつ、国際学会の経験というとても有意義な時間を過ごせました。

卒業研究@CMCセンター

| 投稿者: 機械工学科

みなさん、こんにちは。

古井光明先生・加藤太朗先生の材料グリーンプロセス研究室に所属しています、工学部機械工学科4年生の栗原裕人です。

材料グリーンプロセス研究室では金属・音響・CMCの3つのグループに分かれて研究を行っています。

このブログでは私が卒業研究をしている「CMC」について紹介させていただきます。

 

CMCとは超耐熱高温構造材料であるセラミックス複合材料(Ceramic Matrix Composites)のことで、その特徴として「軽量」・「高い耐熱性」「延性的な破壊」の3点が挙げられます。

一つ目の特徴「軽量」は、現在、航空機のエンジン部品に用いられているニッケル(Ni)系の耐熱金属の密度が9 g/cm³に対して、炭化ケイ素(SiC)の母材をSiC繊維で強化したSiC/SiC複合材料のそれは2~2.5 g/cm³と1/3程度の密度であることです。

二つ目の「高い耐熱性」です。

CMCは1400℃もの高温下での利用が可能であり、 Ni基耐熱金属の最高使用温度が1150℃であることから、優れた耐熱性を持っていることがわかります。

三つ目の「延性的な破壊」です。

ただの(モノリシックな)セラミックスは靭性が乏しいため、材料としての安全性や信頼性が低い問題があります。

一方CMCはセラミックスの母材に繊維を組み込むことで強度と靭性を両立しています。

強度とは形を変えずにどのぐらい力を支えられるかを示し、靭性とは材料の粘り強さで亀裂が成長しにくい性質のことです。

材料は強度を高めると靭性は逆に低くなり、靭性を高めると強度は低くなる表裏の関係があります。

つまり、強度と靭性のトレードオフをバランス良く改善した材料がCMCなのです。

航空機産業では航空機の燃費向上による省エネルギー化と、航空機が排出するCO₂の削減目標が立てられています。

その目標を達成するため、航空機エンジン部品材料の耐熱性向上と軽量化が求められています。

しかし、現行の金属材料ではその耐熱温度が融点に近づき、耐熱性に限界が見えてきています。

そこで私が研究をしているCMCが注目されています。

 

続いて私が実際にCMCセンターで行っている研究について紹介させていただきます。

私の研究テーマは「CMCの溶融含浸プロセスの最適化」です。

提案されているCMCの製造方法の中で最も有望な反応溶融含浸(RMI)法では、CMCに気孔ができてしまう問題があります。

そこで私は溶融Siをプリフォーム全体へ均一に含浸させ、緻密なマトリックスを形成させることを目的として研究に取り組んでいます。

また空隙の少ないCMCを製造するために、SiC繊維にスラリーを塗布する工程においてスラリーを構成するSiC粒子・樹脂・炭素微粒子・造孔材・溶剤の配合割合を変化させ、溶融Siの含浸のしやすさや製造したCMCの性質を調べています。

実験の変数が多く、無数のパターンで試行錯誤を繰り返さなければならないため、失敗することもあるのですが、小さな変化を見つけ出すことを楽しみながら研究を進めています。

 

CMCセンターは国内の産官学の連携拠点としてプロジェクト推進や共同研究を行うために設立された、世界に類を見ないCMCの総合開発センターです。

CMCセンターで研究をすることで産官学の連携に加わることができ、自分のためだけでなくサステイナブル社会の発展・充実に貢献することができます。

大学卒業後に就職する企業で自分の知識や技術をどのように社会に還元できるかなどの働き方をイメージすることができ、とても良い経験になります。

その他にもCMCセンターで研究していることは、就職活動における自分の強みやアピールポイントとして活用することができます。

 

私はCMCセンターで研究できるという貴重な経験をむだにしないように研究に励み、少しでも社会に貢献できるようにがんばりたいと思っています。

みなさんもぜひCMCセンターで研究してみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

国際学会ICPS2023で論文を発表しました

| 投稿者: 機械工学科

みなさん、こんにちは。

先進メカトロニクス研究室に所属している修士1年のワタナベです。

202358~511日まで中国ので開催された6th IEEE International Conference on Industrial Cyber-Physical Systems(ICPS2023)で研究発表しました!!

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私は、Sound Field Control by Using Equivalent Input Disturbance method”について発表しました。私の研究は、騒音を抑制するために騒音の音を推定し騒音の逆位相の音で制御するものです。私の発表は、初日の1番最初でした。初めての英語での発表でとても緊張しました。英語で質問がありましたが、なんとか答えることができました。他の人の発表もあり、とても勉強になりました。また、自分の研究でも使えそうな制御システムの研究を発表している人がいてコミュニケーションをとることができました。

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学会が終わってからは、観光をしました。黄鶴楼という有名な塔や地元の商店街のようなところに行ったり、東湖めぐりの船に乗りました。中国は、交通費が安かったのが印象的でした。また、ほとんどの支払いがキャッシュレスで現金は使っていませんでした。

困ったことに、空港などでほぼすべての人が中国語で話しかけてきました。すごく海外に来たなと実感しました。空港からホテルとホテルから空港までは、車で送ってもらいました。帰りの車の中で、日本のエヴァンゲリオンの曲が流れていて日本語がない海外で日本の曲がかかってすごくテンションが上がってしまい車を降りたときにすごく感謝し、見送りをしました。

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今回は、初めての学会発表が海外でとても大変でしたが、とても良い経験になりました。もっと研究頑張ってみようと思います。

最後にこの場を借りて英語の論文作成に多くの助言を頂きました王さん、佘先生ありがとうございました。

大学院で学ぶ楽しさと研究の面白さ

| 投稿者: 機械工学科

皆さんこんにちは。
材料グリーンプロセス研究室(古井・加藤研究室)所属、工学研究科サステイナブル工学専攻2年の成田哲也です。
今回のブログでは、私が「学士・修士一貫早期修了プログラム」を活用して進学した大学院での研究生活についてお話しいたします。

 

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機械工学科の卒業課題Ⅰポスター発表会

| 投稿者: 機械工学科

皆さん、こんにちは!

材料グリーンプロセス研究室に所属しています、機械工学科4年生の林瑠之介です。
大学生の皆さんは、文化祭の準備やアルバイトなどで忙しい方もいらっしゃると思います。
コロナによる行動制限は緩和されていますので、体調管理をしっかりし、健康で安心・安全な学生生活を送りましょう。
このブログでは、8月4日(木)に行われた、機械工学科の卒業課題Ⅰポスター発表会についてお話ししたいと思います。
しばらくの間お付き合い下さい。

 

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