« 国際学会ICPS2023で論文を発表しました | トップページ | コーオプ実習成果発表会を開催しました »

卒業研究@CMCセンター

| 投稿者: 機械工学科

みなさん、こんにちは。

古井光明先生・加藤太朗先生の材料グリーンプロセス研究室に所属しています、工学部機械工学科4年生の栗原裕人です。

材料グリーンプロセス研究室では金属・音響・CMCの3つのグループに分かれて研究を行っています。

このブログでは私が卒業研究をしている「CMC」について紹介させていただきます。

 

CMCとは超耐熱高温構造材料であるセラミックス複合材料(Ceramic Matrix Composites)のことで、その特徴として「軽量」・「高い耐熱性」「延性的な破壊」の3点が挙げられます。

一つ目の特徴「軽量」は、現在、航空機のエンジン部品に用いられているニッケル(Ni)系の耐熱金属の密度が9 g/cm³に対して、炭化ケイ素(SiC)の母材をSiC繊維で強化したSiC/SiC複合材料のそれは2~2.5 g/cm³と1/3程度の密度であることです。

二つ目の「高い耐熱性」です。

CMCは1400℃もの高温下での利用が可能であり、 Ni基耐熱金属の最高使用温度が1150℃であることから、優れた耐熱性を持っていることがわかります。

三つ目の「延性的な破壊」です。

ただの(モノリシックな)セラミックスは靭性が乏しいため、材料としての安全性や信頼性が低い問題があります。

一方CMCはセラミックスの母材に繊維を組み込むことで強度と靭性を両立しています。

強度とは形を変えずにどのぐらい力を支えられるかを示し、靭性とは材料の粘り強さで亀裂が成長しにくい性質のことです。

材料は強度を高めると靭性は逆に低くなり、靭性を高めると強度は低くなる表裏の関係があります。

つまり、強度と靭性のトレードオフをバランス良く改善した材料がCMCなのです。

航空機産業では航空機の燃費向上による省エネルギー化と、航空機が排出するCO₂の削減目標が立てられています。

その目標を達成するため、航空機エンジン部品材料の耐熱性向上と軽量化が求められています。

しかし、現行の金属材料ではその耐熱温度が融点に近づき、耐熱性に限界が見えてきています。

そこで私が研究をしているCMCが注目されています。

 

続いて私が実際にCMCセンターで行っている研究について紹介させていただきます。

私の研究テーマは「CMCの溶融含浸プロセスの最適化」です。

提案されているCMCの製造方法の中で最も有望な反応溶融含浸(RMI)法では、CMCに気孔ができてしまう問題があります。

そこで私は溶融Siをプリフォーム全体へ均一に含浸させ、緻密なマトリックスを形成させることを目的として研究に取り組んでいます。

また空隙の少ないCMCを製造するために、SiC繊維にスラリーを塗布する工程においてスラリーを構成するSiC粒子・樹脂・炭素微粒子・造孔材・溶剤の配合割合を変化させ、溶融Siの含浸のしやすさや製造したCMCの性質を調べています。

実験の変数が多く、無数のパターンで試行錯誤を繰り返さなければならないため、失敗することもあるのですが、小さな変化を見つけ出すことを楽しみながら研究を進めています。

 

CMCセンターは国内の産官学の連携拠点としてプロジェクト推進や共同研究を行うために設立された、世界に類を見ないCMCの総合開発センターです。

CMCセンターで研究をすることで産官学の連携に加わることができ、自分のためだけでなくサステイナブル社会の発展・充実に貢献することができます。

大学卒業後に就職する企業で自分の知識や技術をどのように社会に還元できるかなどの働き方をイメージすることができ、とても良い経験になります。

その他にもCMCセンターで研究していることは、就職活動における自分の強みやアピールポイントとして活用することができます。

 

私はCMCセンターで研究できるという貴重な経験をむだにしないように研究に励み、少しでも社会に貢献できるようにがんばりたいと思っています。

みなさんもぜひCMCセンターで研究してみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

« 国際学会ICPS2023で論文を発表しました | トップページ | コーオプ実習成果発表会を開催しました »

研究」カテゴリの記事