『趣味』と『科学』をつなげよう! エレキギターの仕組み
| 固定リンク 投稿者: 機械工学科
みなさんこんにちは。
材料グリーンプロセス(古井・加藤)研究室大学院1年生の岡崎颯太です。
みなさんはどのような趣味を持っていますか?
スポーツ・映画・ゲーム・キャンプ・読書・釣り…etc.
世の中には様々な趣味がありますが,それらを科学と関連付けて考えてみたことはありますか?
分かりやすいところでは,ゲームはコンピュータやプログラミングのイメージがありますよね。
身近なものを科学の視点から見ることで,科学への好奇心がより強くなります。
私は子供の頃から自動車に興味を持っていたので機械工学科へ入学し,現在は大学院でものづくりの基礎である材料工学を学んでいます.
みなさんにも,身近なものから科学への親しみを感じてもらえるように,私の考えをブログにしたためたい思います。
今回は自動車と並ぶ趣味であるエレキギターの仕組みについてお話しします。
みなさん,エレキ(エレクトリック)ギターは知っていますよね。
その一方で,エレキギターはどのようにして大きな音を出すことができるのか,仕組みについてはご存じですか?
実は小学校で習ったある現象が関係しています。
それは何でしょうか?
図1 エレキギター
実はエレキギターはギター本体だけでは大音量は出ません。
とても小さい音しか出ないのです。
動画1 エレキギター生音
エレキギターは基本的に木の板にパーツが搭載されている楽器です。
つまりアコースティックギターのような空洞は存在しません。
アコースティックギターは,この空洞のおかげでギター本体だけでも大きな音が出ます。
動画2 アコースティックギター生音
一方のエレキギターでは,どうすれば大きな音が出せるのでしょうか。
そこで使用するのがアンプ(アンプリファー・増幅器)です。
アンプとエレキギターをケーブルで接続すると,エレキギターの音を鳴らすことができます。
図2 アンプ(アンプリファー)
動画3 エレキギターアンプ増幅
弦を弾いただけの小さい音を,アンプを介して大きくしているのですが,その音はどのようにアンプへ伝達されているのでしょうか?
エレキギターにおいて,その役割を果たすのが「ピックアップ」です。
図3 ピックアップ
ピックアップは簡単に言うと「音を拾う」パーツで,磁石の周りにコイルを巻き付けた構造をしています。
実はたったそれだけで音を拾うことができるのです。
図4 ピックアップの構造
みなさんは小学校で勉強した「電磁石」を覚えていますか?
金属の周りに導線を巻いて,その導線に電気を流すと金属が磁石になる,というものです。
中学校では電磁石の逆バージョン「電磁誘導」を勉強したと思います。(中指:電・人差し指:磁・親指:力の、いわゆるフレミング左手の法則です)
電磁誘導は,磁場の変化に応じて導線に電位差(電圧)が発生し,電流が流れる現象です。
ここまでお話しすればお察しかと思いますが,ピックアップは電磁誘導を利用したパーツなのです。
図5 フレミング左手の法則
そもそも音は「気体・液体・固体を媒質とした波」です。
少し難しい表現ですが、「音=波」と思っていただければだいじょうぶです。
磁石と導線で構成されるピックアップの周りには,磁石による磁場が発生します。
その磁場を変化させるのがエレキギターに張られた金属製の弦です。
弦がもたらすピックアップの磁場の変化は,弦の振動と同期します。
つまり,音の波と同じタイミングで磁場の変化(=電流の発生と変化)が起こります。
すなわちピックアップは「音の波を電気の波に変換する」パーツとなります。
そして,発生した電気の波を大きくする装置がアンプです。
図6 ピックアップの仕組み
図7 エレキギターの音が出る仕組み
このように自分の趣味について,科学の目線からかみくだいて見てみるとその仕組みをより深く理解することができます。
そしてその知識を趣味にフィードバック(ギターについて言えば,より良い音を追求)することもできるのです。
科学の目を光らせてものごとを見ると,新しい,またおもしろい発見があります。
そうした習慣こそが課題を発見し,解決するヒントをつかむ力,いわゆる課題の発見力・解決力の修得につながります。
私もエンジニアとして働くための力をさらに身に付けるべく,身のまわりにある現象を今一度見つめ直してみたいと思っています。
最後までお付き合い下さり,ありがとうございました。