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昆虫飛翔の世界を覗く

| 投稿者: 機械工学科

機械工学科ブログをご覧になっている皆さん

こんにちは,野田です.
私の初めての投稿ということもありまして,「昆虫飛翔」の研究について紹介します.
特に工学部を志望して本ブログをご覧になっている高校生の皆さんには,「昆虫」と「工学」,馴染みがなさそうに見えますが,この関係がぼんやり分かる程度にお付き合いいただければと思います.

まずタイトルに違和感を感じた人がいるかもしれません.
それは,「昆虫飛行」ではなく,「昆虫飛翔」の部分ではないでしょうか.
これは,飛行機の様な動かない,固定された翼では飛行,これらと区別する意味でも羽ばたく翅を使って飛んでいることを飛翔としているためです.

またまた違和感を感じた人がいるかもしれません.
それは,「羽ばたく」ではなく,「羽ばたく」の部分ではないでしょうか.
簡単に言うと,背骨のある鳥に対して,背骨のない昆虫に対してといった言葉を使って区別をしています.
またまたまた...と続けていきたい所ですが,面白みに欠けるので言葉の紹介はここまでとします.

さっそくですが,なるべくポップなイラストの馴染みのある昆虫を並べてみました. 

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図1 馴染みのある昆虫

 

左から蚊,ハエ.ハチ,トンボ,チョウといった順番に並んでいます.
これらの昆虫が,(太文字の強調がしつこいですが)羽ばたくを使って1秒間という時間の中で何回程度羽ばたき運動(背中側の上側の方からお腹側の下側に打ち下ろして,下側から上側に打ち上げる運動を1回と数えます)を行うでしょうか.是非答えを見る前に予想してみてください.
すぐに正解を書くのも面白くありませんので,上の図を,蝶を基準としたおおよその実際のサイズに変更してみました.

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図2 馴染みのある昆虫(実際のサイズ表示)

蚊,ハエがほとんど見えなくなってしまいました...一言に飛翔昆虫といっても体の大きさだけでも大きく異なることが分かります.

それでは正解の発表ですが,蚊,ハエ,ハチ,トンボ,チョウの順に約6002001005010回となっています. 皆さんの予想を遥かに超えていることを期待します.
基本的にはサイズが小さくなるにつれて,羽ばたきの周波数(1秒間に何回羽ばたくか)は増えていき,また翅の形状や大きさ,翅の運動の仕方,翅を動かすための筋肉の違い等,多様な形態で空中での生活を謳歌しています.

この様な高速な翅の運動は人間の目には直接的には見えないため,1秒間に何千~何万枚と写真を撮れるカメラで撮影することで,詳細な運動が見える様になります.また,この運動を用いて翅の周りにどのような空気の流れが生じているかをパソコンで計算することで,それぞれの昆虫がどのような特徴を持って飛んでいるかを知ることができます.

生物の研究はこの様な多様性に触れる機会がとても面白く,人類より遥かに長い時間を生きてきた飛翔昆虫がどのように環境に適応して現在の形態に進化を遂げたかを知ることで,持続可能な社会を構築するための礎ともなり得ます.

 

野田

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