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大学生活の集大成 −卒業研究と卒業論文−

| 投稿者: 機械工学科

みなさんこんにちは.
材料グリーンプロセス研究室に所属している,機械工学科4年生の横尾優です.


東京工科大学工学部機械工学科では2月6日(木)に卒業論文の発表会を終えました.
この卒業論文発表会は大学を卒業するために避けては通れない、最大にして最後の試練であり,大学生活の集大成です.高校生や大学1,2,3年生のみなさんは卒業研究・卒業論文とは具体的に何なのか・どのようなことをするのかわからない方が多いのではないかと思い,卒業研究・卒業論文について私がこの1年を通して感じたこと,学んだことをご紹介したいと思います.

まず卒業研究とは,自らテーマを決め,疑問を持ったことを論理立てて明らかにし、課題を解決するものです.それにより,まだ研究されていない分野の開拓や,研究されていることを条件を変えて発展させることができます.その研究で得られた成果,データを論文としてまとめるのが卒業研究・卒業論文です.講義科目である実験や演習のレポートとは違い,実験から得られた結果をまとめるだけではありません.まずなぜこの研究を行うのかを述べた上で,新規性を明確にしなければなりません.続いて、課題を解決するために用いた手法を紹介すると共に、実験・解析の結果から考察を行います.なぜこの結果が得られたのか,この結果にはどのような意味があるのかを考え,他の研究者による学術論文と対比させながら書き進めていきます.1年間かけて自分のペースでじっくりしっかりと卒業研究・卒業論文と向き合っていきました.1年間という長いスパンなのでペースがつかみづらいです.また自分のペースで研究を進めるということは,自らを律し,誘惑に負けずコツコツやり続けなければなりません.

ここまで卒業研究・卒業論文について難しい,時間がかかる,大変だと感じるような文章になってしまいましたが,材料グリーンプロセス研究室では定期的にミーティングを行い、担当教授である古井光明先生とディスカッションするため,しっかりと年間計画を立て,自分のペースで研究を進めることができます.また,3年生までの講義と違い,自分の所属する研究室で同じ分野の研究をするメンバーと過ごす1年はとても有意義な時間でした.同じ趣味の話で盛り上がったり,実験がうまく進まずつらかったりもしましたが,苦楽を共にし,切磋琢磨し合うことはこの先の人生に活かせると思っています.4年生になってすぐのミーティングで古井先生がおっしゃられた「同じ釜の飯を食う」という言葉を,身をもって実感しています.

次に私が行った卒業研究についてお話しさせていただきます.私が所属する材料グリーンプロセス研究室では大きく分けて2つのグループで卒業研究を行っています.1つはセラミックス複合材料センターでセラミックス複合材料の研究を行うCMCグループ.もう一方は材料グリーンプロセス研究室がある研究棟Cで金属の機械的性質や耐食性などの研究を行う金属グループです.私は金属グループでマグネシウムの耐食性について研究しました.マグネシウムは身の回りにある金属の中で最も軽く,比重が鉄の4分の1,アルミニウムの3分の2という軽さを誇ります.その軽量性を活かし,自動車や航空機に適用することで軽量化,省エネルギー化を達成できることから注目を集めています.そのマグネシウムですが腐食しやすかったり,燃えやすい欠点があります.そこでアルミニウム(Al)や亜鉛(Zn),カルシウム(Ca)を添加した合金にすることによって耐食性を改善し.難燃化に成功したMg-Al-Zn-Ca合金が開発されています.しかしMg-Al-Zn-Ca合金の耐食性についてはほとんど研究されていませんでした.そこで私はMg-Al-Zn-Ca合金のCa添加量にフォーカスして,それが耐食性にどのような影響をおよぼすのか,またMg-Al-Zn-Ca合金が作られるプロセスによる耐食性の違いも明らかにしていきました.研究を始めたばかりの頃はマグネシウムについての知識が全くなかったので,古井先生が紹介して下さった論文を読んだり,他の研究者による論文を検索したりして,周辺技術を勉強しました.また東京都立産業技術研究センターの研究員の方を交えたミーティングや,東京都立産業技術高等専門学校の先生や学生さんとの情報共有をしながら研究を充実させていきました.

程なくして秋を迎え,研究も後半戦になりました.そんな中材料グリーンプロセス研究室は引っ越しという一大イベントを迎えていました.同じ建物内での引っ越しでしたが,研究グループごとの荷物整理や実験器具の梱包は想像以上に大変でバタバタしていました.引っ越しを無事に終えると季節は既に冬になっていました.研究も終盤に差し掛かり,今度は論文を書き始める時期です.機械工学科からテンプレートが配布され,その書式に従って書き進めていきます.また先行研究や先輩の論文を参考にしながら書いていました.研究も同時進行なので進捗はゆっくりでしたが,そうしているうちに1月になり,章ごと,論文全体の加筆修正を繰り返しました.この頃は古井先生も複数の論文を同時にチェックされていたので大変だけでは表せない重労働だったと思います.提出日当日は,材料グリーンプロセス研究室の全員が無事に提出することができました.

これで一安心と喜べるのも束の間,今度は卒業論文発表会が控えています.発表会ではパワーポイントのスライドを使用しますが,そのスライド作成も発表練習と加筆修正の繰り返しでした.この加筆修正と発表練習を通して,古井先生がいかに良い論文を書いて欲しいか・良い発表をして欲しいかという私に向けたメッセージをひしひしと感じました.そうしてできあがったスライドを使用しての卒業論文発表会です.とても緊張して練習どおりに発表できたか覚えていないぐらいです.そんな緊張を乗り越えて無事に発表会も終えることができました.

ここまで数々の難関を突破することができたのは多岐にわたってご指導下さった古井先生,そして材料グリーンプロセス研究室の仲間,家族の支えがあってこそだと感じる1年でした.こんな大変な卒業研究・卒業論文はもう二度とやりたくないと思う一方で,それを正々堂々と乗り越えることができたのだから,ちょっとやそっとのことではへこたれないという自信がわいてきました.また論文を書く時の論理立てや,研究をやり通す継続力,とても緊張した発表会などすべての経験は,目前に迫っている就職だけでなく,このあとの人生すべてに活かせること,また活かさなければならないと感じています.

これから大学生になるみなさん,そして卒業研究に向かう大学1,2,3年生のみなさん.卒業研究・卒業論文をやり遂げた後の達成感・充実感は本当に素晴らしいものです.自分が所属する研究室に限らず,他の研究室や外部の研究者の方と広く情報・知識を共有し,実りある,また将来につながる卒業研究を行って,卒業論文を書いて,卒業論文発表を行って下さい.

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