社会を支える鉄づくりの現場を見学して
| 固定リンク 投稿者: 機械工学科
はじめまして。
機械工学科3年生の市川隆司と上野翼です。
機械材料を専門とする古井光明先生の創成課題では、就職活動の一環として、金属系ものづくり企業の工場見学を実施しています。
今年は東京湾に浮かぶ約550万平方メートルの人工島にあるJFEスチール株式会社の東日本製鉄所を見学しました。
JFEスチール株式会社は、世界最高技術を持って社会に貢献するグローバルな大手鉄鋼メーカーであり、粗鋼の生産量は世界第8位,国内では第2位です。
私たちが訪問した東日本製鉄所京浜地区では、鉄鋼の厚板・薄板・表面処理鋼板・管を製造しています。
このブログでは、JFEスチール株式会社東日本製鉄所の工場見学について報告したいと思います。
製鉄所はどんなところだろう? 大きなプラントの中ではどんなことが行われているのだろう?? といった疑問とワクワクを抱きながら見学へ向かいました。
工場に到着すると、敷地の広さとプラント設備の大きさに驚きました。
事前に古井先生からスケールが大きい会社と聞いていましたが、まさか工場敷地の中に首都高速湾岸線が走っているとは思ってもみませんでした。
最初に訪問した教育センターでは、JFEスチール株式会社が何をしているのか、どのような社会貢献をしているかなどについて、資料とスライド、ビデオ動画を交えながら詳しく説明していただきました。
続いていよいよ待ちに待った見学です。
まずは製鉄所のランドマークと言われる高炉へ行きました。
高炉とは製鉄所の主要な設備であり、鉄鉱石や焼結鉱と共にコークスを燃やして銑鉄を作るための炉です。
高炉の中で起こる1600℃にも達する還元反応を経て、鉄鉱石が鉄へと生まれ変わります。
そこでは、昼夜を問わず操業保守・点検に従事する機械エンジニアの活躍が必要不可欠であることを学びました。
1.焼結鉱,石灰石 2.コークス 3.ベルトコンベヤ 4.投入口 5.焼結鉱,塊鉱石,石灰石
6.コークス 7.熱風管 8.スラグ 9.溶銑 10.スラグ車 11.トーピードカー 12.ガス分離器
13.熱風炉 14.煙突 15.冷風 16.微粉炭 17.粉砕機 18.分配器
図1 高炉の模式図
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E7%82%89#/media/ファイル:Blast_furnace_NT.PNG)
高炉から取り出した銑鉄は、トロッコ列車に載せた溶銑鍋で転炉へと運ばれます。
炭素が多くてもろい銑鉄から炭素や不純物を取り除いて溶鋼にするのが転炉です。
オートメーション技術によって酸化反応を制御しながら、炭素や不純物の量をppmオーダーで調整してゆきます。
1800℃にも達する転炉の熱は、工場内で使用する電力を賄うために発電に利用するサステイナブルな技術が確立されているようです。
最後は製鉄工場の花形とも言われる熱間圧延ラインを見学しました。
この熱間圧延ラインでは高炉,転炉,二次精錬を経て連続鋳造で製造されたスラブを板に成形します。
熱間圧延の建屋に入ると、加熱されて赤い状態のスラブがコンベアの上を流れてきました。
コンピューターによる自動化操業によって、長さ10m,厚さ40cmのスラブが次第に板へと変形してゆく様子を目の当たりにして、また板から発せられる水蒸気の熱風が吹き上がるたびに、ダイナミックな鉄のものづくりを体感することができました。
機械のエンジニアは、圧延機の設計・開発や管理に携わりながら、高性能化・高生産化に貢献していることを知りました。
社会基盤材料である鉄鋼は、昔ながらの伝統的な、また日本人らしい細やかさを活かしつつ、無人自動化・工程効率化により、高い品質を追求するものづくりが行われています。
その現場では、ものづくりの安心・安全と共に、品質の信頼性を担保する機械エンジニアの働きが不可欠です。
「素材はものづくりの基礎」を実感できた、また今後につながるとても有意義な工場見学でした。
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