リサイクル工場見学記(その1)
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ご無沙汰しています。サステイナブルマネジメント研究室の芝池です。
実は、工学部には「サステイナブル工学研究会」と称する教員の組織があり、講演を聴いたり勉強会を開いたりして日々研鑽を重ねています。
その活動の一環として先日、環境マネジメント活動でも著名な株式会社リコーさんのリサイクル拠点である「リコー環境事業開発センター」の施設見学に行ってきましたので、この場を借りて報告をしたいと思います。
「リコー環境事業開発センター」は富士山の裾野にあり、雄大かつ風光明媚で爽やかな景観に囲まれた、とても自然が豊かな事業所です。
グローバル企業のリサイクル施設とは一体どんなところなのか、また、ロマンスカー「あさぎり」の終点という立地条件も手伝って(個人の見解です)、研究会のメンバーである先生達と一緒に興味津々、好奇心の塊となって参加しました。
御殿場駅から車で約15分、着いた事業所は広い敷地に堂々とした建物がそびえたつ、さすが世界をリードする事務機器トップメーカーの施設という感じでした。
使用済みコピー機から取り出した線材で作った熊さんがお出迎え
最初は「すごく立派な建物だなぁ」と単純に感心していたのですが、中へ入ってまたビックリ!リサイクル施設という呼称が醸し出す雑然とした印象は全くなく、静かで清潔で創造性に溢れた、まるで大学か研究所のような雰囲気なのです。
それもそのはず、この事業所ではコピー機等のリサイクル事業だけではなく、再生可能エネルギーや省エネルギー技術はもちろん、持続可能性に優れた新材料や自動運転システム等の多様な研究開発業務を展開している先端的な研究センターでした。
何はともあれ、サステイナブル工学の教育研究活動の参考にしようと欲張った施設見学をしてきましたので、その中から特に感銘を受けた内容を以下に紹介します。
まずはコピー機(正しくは「複合機」といいます)のリサイクル事業です。
この施設には全国から1日に600台もの使用済みコピー機が戻ってくるそうで、膨大な量の機械を分解してリサイクル品として使える部品などを選別し、そのグレードに合わせた様々な処理により再生するわけですが、ここで重要なのが情報です。
お客様のところでどのように使われたか、という使用履歴データが活躍するのです。
このデータを参考にしながら各部品を精密かつ効率的に検査し、リコーさんが独自に「コメットサークル」と呼んでいる段階的なリサイクル事業のどのループに載せると最も効果的かを決定しています。
新製品の開発現場のようなコピー機再生工場
「コメットサークル」とは、太陽系を周回する惑星や彗星のようにリサイクルのプロセスループを細かく整理しておき、最も小さいサークル、すなわち保守による再使用から部品レベルでの再利用を含む再生製品、さらには工程の複雑なケミカルリサイクルまで、事業価値を最大化するよう徹底的にマネジメントをする考え方なのです。
ともすればシーズオリエンテッドになりがちな環境技術を市場ニーズと適切にマッチングさせ、リサイクルを事業として成立させる素晴らしいアイディアだと思います。
まさにサステイナブル工学を体現した取組を目のあたりにした思いで、高度で困難な事務機器リサイクルを的確に進める技術力と経営努力に感嘆しました。
次回「リサイクル工場見学記(その2)」に続きます
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