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リサイクル工場見学記 (その2)

| 投稿者: 機械工学科

 サステイナブルマネジメント研究室芝池です。
前回に引き続き、株式会社リコーさんのリサイクル拠点である「リコー環境事業開発センター」の施設見学記です。

 研究開発の中から、使用済みプラスチックの油化リサイクル技術を紹介します。
市場から戻ってきたコピー機には使用済みの、トナーがいっぱい付着したカートリッジが必ず含まれています。
 これを高熱で分解処理し、金属部品はリサイクルして活用し、プラスチック部品は燃料化しようという複雑な技術の開発に取り組んでいるのです。
10kgの使用済みトナーカートリッジから約1.5kgの混合油が精製できるそうで、1年に3,000トン以上のCO2を削減(30万本の杉に相当)しているというお話でした。


使用済みトナーカートリッジから燃料油を精製する実験設備の一部

 使用済みのカートリッジから金属部品を再生して省資源化を図るだけでなく、プラスチック材料の燃料化で地球温暖化防止まで果たすとは、まさに一石二鳥です。
まだ実証実験中とのご説明でしたが、早く実用化して世界中に普及させてほしい、とても楽しみな環境技術だと思います。

 最後は施設におけるエネルギーの確保についてです。
 驚いたことに、この事業所で使用する全エネルギーの約40%は、自家製木質チップの燃焼エネルギーで賄われているのだそうです。
木材の燃焼は「カーボンニュートラル」といって、排出する二酸化炭素は木材が成長する際に大気中から光合成のために吸収した炭素がもとなので差し引きゼロ、つまり化石燃料よりも地球温暖化への影響をはるかに小さく抑えることができます。
 そして、木材という再生可能な資源を積極的に利用するため、なんと専用の木質チップ生産施設と燃焼棟を建設し、さらには豊富な富士山の木材を伐採する特殊車両(!)まで用意して、自前でエネルギーを創り出していたのです。


富士山の木材を伐採する特殊な車両

 今後はさらにエネルギー自給率を増大させ、2020年には事業所全体、2050年には会社全体のエネルギーを自然エネルギーで賄う計画(RE100といいます)だそうです。

 このように、製品リサイクルはもちろん、サステイナブル社会の実現に貢献する環境技術の研究開発、さらには施設の運用に必要なエネルギーの確保にまで配慮した、まるでサステイナブル工学のお手本のような施設でした。
 今回は紙面の都合もあって取組のほんの一部しか紹介できませんでしたので、詳細はホームページで確認して下さい。
 また、機会があったら、皆さんもぜひ一度現地を訪れてみてください。
リサイクルはどうあるべきか、環境マネジメントとは何か、サステイナブル工学で何をめざすのか、といった問いの答えが見つかるかも知れません。
というわけで、貴重な体験をした私は、御殿場駅で静岡茶と「あべかわ餅」を買い、ようやく顔を出した富士山を眺めながら「あさぎり」に大満足で乗り込んだのでした。


リコーさんのリサイクル施設から見た富士山の勇姿(ちょっと残念・・)

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