「サステイナブル工学基礎」の今期授業が無事終了!
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みなさん、こんにちは。サステイナブルマネジメント研究室の芝池です。
今回は、この4月からスタートした「サステイナブル工学基礎」の授業についての続報をお届けします。
サステイナブル工学の最初の授業は、工学部の2年生全員が一堂に会して学ぶ「サステイナブル工学基礎」ですが、今期の授業が7月22日に無事終了しました。
前回は第3回まで講義が進んだところで、環境問題の現状やエネルギー問題の動向を俯瞰して課題の要因や解決手段について考察を深めている、という報告をしましたよね。
実は、第4回以降、通常の授業とは少し変わった趣向を凝らしていたのです!
第4回から第7回の4回の授業は、機械、電気電子、応用化学の三学科に分かれて、サステイナブルな材料や設計・製造方法、ならびにシステム関連の具体事例を、学科毎の特徴をふまえつつ3人の専門の先生方から3回にわたって詳しく学ぶとともに、各学科とも残る1回を大学内の各種施設の「見学ツアー」にあてたのです。
東京工科大学では学内のエネルギー供給に「コージェネレーション」と呼ばれる最新設備を導入しており、大幅な省エネとCO2削減を図っているのですが、残念ながら学生(教員も?)は普段その雄姿を目にすることがありません。
そこで本講義では、まずは自分たちの目で本物を確かめるべきとの配慮から学内見学ツアーを企画し、このコージェネレーション設備をはじめ、家庭用の再生可能エネルギー等の実験施設や、自分たちが毎日排出している各種廃棄物の集積場などを見学し、サステイナブル工学の多面的な理解に取り組んだわけです。
ところで、コージェネレーション(Co-generation)とは日本語で「熱電併給」と呼ぶ場合もあるように、熱源から電力と熱を生産して供給する設備の総称です。
内燃機関を用いる方法、蒸気ボイラーと蒸気タービンを用いる方法、そしてガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた方法に大別されますが、本学では、ガスエンジンを用いて学内で消費する電力の半分以上をまかなえるだけの発電を行うとともに、その際に発生する熱を冷暖房としても利用しています。
という訳で、学生たちは初めて目にする巨大な設備の存在感に驚きを隠せない様子でしたが、いつも自分たちが寛いでいる噴水の地下に、まるでサンダーバードの秘密基地のような機械設備が隠されていようとは想像すらしなかったらしく、極めて興味津々、とても熱心に見学していました。その時の写真を何枚か以下に示します。
また、見学ツアーの実施後には学生から様々な感想が寄せられました。
以下に何件か紹介します。(コージェネレーションの部分のみ抽出、原文のまま)
「普段、足をふみ入れる所のない場所へ足を踏み込んだ。地下にはガスエンジンがおかれ、近づくと空気をゆらすような音とほのかに熱い風、それに混じってかすかにガスの匂いが香った。その他にも、GAR-2、つまり吸収式冷温水発生器もおかれていた。」
「コージェネシステムのV12エンジンのはくりょくがすごかった。エンジンから発生した熱を水で吸収し利用しているのは、さすがサステイナブル工学をやっている大学だと思った。」
「管理室は、人体の中に入った気分だった。天井にたくさんある管は人でいう血管の動脈や静脈、毛細血管のようだった。そして、温度調整をする機械はまさに内臓だ。」
「特にコージェネレーションシステムは、この大学の広いキャンパスの空調を一括で管理する機械の大きさには圧倒されました。(中略)システムは知識としては知っていましたが、実際に見るのは勉強になりました。」
「コージェネレーションシステムは3台の1000馬力のエンジンを用いて発電しており、これを用いて、発電だけでなく冷暖房にも利用されており、無駄をなるべくなくしていて良いと感じた。」
以上のように、これからの学修に大きく役立つ経験になったものと思います。
第8回以降の授業では、主に技術や製品のサステイナビリティ(持続可能性)に関する評価手法と評価指標について学びました。
特に、ワークシートの作成や演習問題に取り組み、グループ討議などを通じてサステイナブル社会の実現に貢献する工学に必要な考え方と科学的なアプローチ方法を身に付けるよう、多様な試みにチャレンジしています。
これらの状況については別の機会に報告いたしますので、どうぞご期待ください。
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