油圧ジャッキ その1: 城を動かす
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これは2009年に撮った弘前城天守閣の写真ですが,現在このような写真を撮ることはできません。実は昨年,この400トンの天守閣はそのままの状態で別の場所に移動されました1)。このように建物を建てたまま移動することを“曳家(ひきや)”というそう2)で,古くからある技術のようです。その際のまさに“縁の下の力持ち”が,ジャッキです。曳家は建物をジャッキにより持ち上げ,レールの上に載せて,そのまま移動する技術です。建物は頑丈に思われますが,移動の際の力の変動に耐えるように設計されていないため,ち密な補強3)を行う必要があるようです。
ジャッキというと,多分みなさんの中で自動車好きの方は,パンタグラフジャッキを思い浮かべるかと思います。
パンタグラフジャッキは,比較的小さな荷重に対して大きなストロークを得やすいなどの特徴があります。
曳家で使用されるジャッキは,より高荷重に適した油圧ジャッキという形式です。曳家ではより大型のものが使用されますが,参考までに5トン程度の小型の油圧ジャッキの写真を載せます。
これらは円筒部の直径がおおよそ5-7cm,高さ20cm位で,80cm位のレバーを接続して使います。これくらいの油圧ジャッキは高いものでも1万円程度で買うことができます。また,100トンの油圧ジャッキも市販4)されており,原理的には5),この製品を4台使えば弘前城天守閣を4人で持ち上げることができてしまいます。すごいことだと思いませんか?
油圧ジャッキのしくみについて,次回説明したいと思います。
1)弘前城石垣修理事業
http://www.hirosakipark.jp/ishigaki.html#ishi01
2)曳家
http://www.nihon-hikiya.or.jp/hikiya.html
3)我妻組 弘前城動く!
http://www.wagatsumagumi.jp/category/2017033.html
4)マサダ製作所
http://www.masada-j.co.jp/prodi.html
5)実際の曳家の際には機械的・電気的に制御された複数の油圧ジャッキが使用されます。
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