世界レベルの研究を東京工科大学から!(その4)
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皆さんこんにちは,,光・エネルギー研究室の大久保です.
前回,前々回,前前々回に引き続き,オーストラリアでの学会でのお話をしたいと思います.
今日は遂に
どんな発表をしてきたのか
についてお話したいと思います.一言で言うと,
"CFRPという新しい材料をレーザーでどう切るべきか,コンピューターシミュレーションで検討を行いました"
という発表をしてきました.
CFRPというのは Carbon Fiber Reinforced Plastic の略で,日本語では炭素繊維強化プラスチック,と呼びます.これは,
- 軽くて丈夫(比強度は鉄の10倍)
- 錆びない(耐食性が高い)
- 電磁波遮断特性が良い
など様々なメリットを持った材料です.
わかりやすい応用例は,飛行機や自動車など乗り物のボディの材料などに利用する事により,その軽さのために燃費が向上しますので,サステイナブルな社会に大変役に立つ材料です.
そんなCFRPですが,樹脂(プラスチック)と炭素繊維との複合材料です.複合材料とは簡単に言うと,全く異なる物質が一つの材料に共存している材料で,鉄筋コンクリート等が良い例でしょうか.コンクリートの中に鉄筋が埋め込まれている鉄筋コンクリートのように,CFRPではプラスチックの中に炭素繊維が埋め込まれているイメージです.
CFRPは軽くて丈夫なのは良いのですが,だからこそ「簡単に切れない=加工出来ない」という問題があります.だから「じゃぁレーザーで切ってやろう」というのが僕の仕事なわけですが,複合材料であるCFRPをレーザーで切るには大きな問題が生じます.簡単に言うと,
「プラスチックと炭素繊維とでレーザーに対する反応が全く違う」
のです.だからレーザーを当てると
- 炭素繊維はすぐに熱くなるけど,樹脂は後から熱くなる
- でも,炭素繊維は高温になっても切れないけど樹脂はちょっとの高温で溶ける
というような事から,レーザーでCFRPを切ろうとすると,炭素繊維が残ってしまったり,樹脂が変性する部分が表面に広くできてしまったり,と色々な問題が生じます.当然,上手く切れないと材料が弱くなってしまったりしてCFRPの利点を生かすことが出来ません.
さらにそもそも,
炭素繊維と樹脂とでそもそもレーザーを当てたときにどんな事が起こるのかがまだきちんと分かっていない
という問題があります.そのため,
CFRPにレーザーを照射した時の現象解明や最適化のためにコンピューターシミュレーションをしました!
難しい話は省略しますが,これまでの世界中のどの研究においてもコンピューターシミュレーションで考慮されていなかった事を考慮する事により,実験を再現する良い結果を出すことが出来,発表でも好評を頂きました.
以上が僕のオーストラリアの発表の概要です.以上を簡単に説明した絵をホームページに掲載していますので,こちらにも末尾転載します.良かったら是非ホームページの方も見てみて下さい.
以上,4回に渡ってだらだらと書きましたが,東京工科大学では,しっかりと海外に行って「日本代表」として発表して来られる研究をしています.日本国内だけでなく,世界に目を向けた研究を一緒にしてみませんか?
おおくぼ
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