新シリーズ:秘仏の環境効率を考察する!【第2回】
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みなさん、こんにちは。サステイナブルマネジメント研究室の芝池です。
今回はまず仏像のお勉強から始めたいと思いますので、難しい漢字が多くて読みにくいかもしれませんが、これも修行だと思ってどうぞお付き合いください。
さて、みなさんは「仏像」と聞くとどのようなお姿を思い浮かべますか?
修学旅行で皆一度は訪れているはずの奈良東大寺の毘盧遮那仏(大仏のことです)や京都三十三間堂の千手観音像(なんと1001体もありましたよね)でしょうか?
他にも、奈良興福寺の国宝館ではスーパースター阿修羅や「白鳳の貴公子」と呼ばれる仏頭(実は薬師如来です)にお目にかかっているでしょうし、与謝野晶子が「美男におはす」と詠んだ鎌倉高徳院の大仏にだって遠足か何かできっとお会いしていますよね。
でも、こうした様々な仏像(仏さま)ってみんな同じなのでしょうか。
いえ実は、仏像は役割に応じた「如来、菩薩、明王、天部」の4つの種類およびその他の尊格に分類されており、なかなかに複雑ではあるのですが、私はこの4つを鉄道(特急列車?)の種別になぞらえるとよくわかるように思うので、簡単に説明してみます。
まず、「如来」とは悟りを開いた尊いお方で、「釈迦如来(お釈迦さまです)」「阿弥陀如来(西方の極楽浄土からお迎えに来られます)」「薬師如来(東方の瑠璃光浄土の教主です)」「大日如来(密教の最高位にあられる絶対的存在です)」らがいらっしゃいます。
鉄道でいえば、そう、頂点を極めた大エース、文句なく新幹線の超特急でしょう。
次に、「菩薩」とは如来をめざして修行中の方々で、文殊菩薩、普賢菩薩、観世音菩薩、勢至菩薩、日光菩薩、月光菩薩、弥勒菩薩、地蔵菩薩、虚空蔵菩薩、など多くの仏像がありますが、お釈迦さまがまだ修行中でインドの王子だった頃のお姿を原形としているため、美しく豪華な装いをされているのが特徴です。
鉄道ならさしずめ四方八方に展開する在来線の特急、というところですね。
なぜなら、菩薩は数も多く様々なお姿をされており(特に観世音菩薩すなわち観音さまには聖観音とその異形の変化集団である千手観音、十一面観音、如意輪観音、馬頭観音、不空羂索観音などパワフルな仲間がおられます)、全国津々浦々、悩める人々に遍く救済の手を差し伸べて下さるところなどまさに在来線といった感じですし、心の中では「いずれは如来(新幹線)に・・」なんて思っていらっしゃるかも知れませんから。
ところが、この中で弥勒菩薩だけは将来如来になることが約束されているのです。
ただし少々時間がかかるそうで、なんでもお釈迦さまが入滅(亡くなるという意味)されてから56億7千万年後(!)の世界に弥勒如来としてお姿を現し、相変わらず迷い苦しみ続けているに違いない人間たちをお救い下さるのだとお聞きしています。
残念ながら私はそれまで待てませんが、みなさんの中には医学の進歩で弥勒如来に会える人が出て来るかもしれませんので、その時はぜひよろしくお伝えください。
余談ですが、こうした世界観を背景にした壮大かつ深奥なるSF小説があります。
もう何十年も前の作品なのに現在でも人気ベスト10に顔を出すほどの傑作中の傑作、孤高の作家光瀬龍氏渾身の一作で、その名も「百億の昼と千億の夜」という融通無碍、博覧強記、波瀾万丈、空前絶後の一大叙事詩です。
萩尾望都氏の美しい絵になるコミックも出ており、まずこちらから読んでも十分楽しめると思いますが、何はともあれ格別の面白さですのでお薦めしておきます。
さて、三番目の「明王」は如来の化身で、ご存知不動明王、愛染明王、大威徳明王、など忿怒の形相で剣や縄などを持ち、菩薩でさえ救えなかった人々を導いて下さいます。
敢えて鉄道に例えるなら、ラッセル車や登山列車といった特殊用途の車両でしょうか。
最後の「天部」は非常にバラエティに富んでおり、例の阿修羅(「八部衆」という関ジャニみたいなイケメンユニットのメンバーです)をはじめ、梵天や帝釈天、四天王、吉祥天に弁才天、鬼子母神、大黒天、十二神将たちはみなこのグループに属しています。
もともとは他宗教における神様的存在だった方々なのですが、お釈迦さまの教えに導かれて仏教に帰依し、今では仏法を守護されているのです。(先ほどのSF小説「百億の昼と千億の夜」では阿修羅王が若きお釈迦さまと一緒に大活躍します!)
鉄道なら、小田急ロマンスカーや東武スペーシア、京成スカイライナーに名鉄パノラマスーパー、近鉄しまかぜ、といった私鉄各社ご自慢の特急列車ではいかがでしょうか。
それでは秘仏はどうなのかと言うと、仏像の尊格(種類)ではなく、普段は厨子の中などに隠されていて御開帳の時以外お姿を目にすることのできない仏さまでしたよね。
ですから、鉄道ならそれこそお召列車や期間限定運行の蒸気機関車、試乗用のリニアモーターカーのような、特別に編成された列車がふさわしいように思います。
あるいは、乗りたくてもチケットがなかなか手に入らないブルートレインなんかもイメージぴったりですね。(と、ここまでずいぶん駆け足かつ強引な喩えで紹介してしまいましたが、興味を持たれた方は一度きちんと仏教や仏像について勉強してみて下さい。)
では、いよいよ仏像、特に秘仏の環境効率について考えてみましょう。
環境効率とは、製品やサービスの環境への影響と価値をライフサイクル思考に基づいて同時に評価する手法または指標で、これまで環境負荷一辺倒だった製品等の評価にその価値(機能的価値、経済的価値、美的価値など)を組み込んだ新しいコンセプトです。
したがって、・・・というところで今回もやっぱり紙面が尽きました。
結局仏像の話だけしかできませんでしたが、次回はいよいよ本題である秘仏と環境効率との関係に話を進めたいと思います。
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