金属にまつわるエトセトラのその後 -金属アレルギー-
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こんにちは!材料グリーンプロセス研究室の古井です.
このブログでは数回にわたって、金属に関するクイズ「金属にまつわるエトセトラ」の答えを■で示しながら、そのバックグラウンドについて解説しています。ところでみなさん、クイズの方はチャレンジしてみられましたか!?(まだの方はこちらをクリック)
最後となる今回は8つめの問題、「金属アレルギーを起こしやすい金属は?」です。この答えは「ニッケル」。メガネや腕時計などの金属製品を身に着けていて、何となくかゆくなったことはないですか? 冬場は気にならないのに、汗をかく夏になるとムズムズするって方もいらっしゃるかもしれませんね。これこそが金属アレルギーによる皮膚炎です。
金属アレルギーが起こるまでのプロセスとして、下のフローチャートが提案されています。このプロセスに、汗のかきやすさ,肌の角質層の薄さ、そして肌に付着している菌の状態など様々な要因が影響を及ぼし合って、発症の有無や症状の度合いが決まります。また、アレルギー反応が起こる期間は人それぞれ違います。①からわずか数日で反応する人がいれば、数年経って忘れた頃に、頭のてっぺんや足の裏のような思わぬところに発症することもあります。しかもひとたび金属アレルギーになると、数年から数十年、時として一生直らなかったり、化粧品や注射針にさえかぶれてしまう場合がある、とても厄介な病気なんです。
若い女性の約20%もの方が経験されている金属アレルギー。その予備軍は日本だけでも1000万人を超えると言われています。ではアレルギーになりやすいのはどのような金属なのでしょう? ある皮膚科医師は、ニッケル,クロム,コバルト,水銀が4大アレルギー金属であると報告しています。中でもニッケルは最もアレルギーを起こしやすい、とても危険な金属であるにもかかわらず、加工しやすい,さびにくい,安いなどの特徴から、硬貨,食器,メガネフレーム,アクセサリーなどにたくさん使われています。しかも、金メッキの下地に利用されるため、ゴールドのアクセサリーを身に着ける方は、知らず知らずのうちに金属アレルギーが進行してしまっていたというパターンが多いようです。
と言うことは結局のところ、発症のきっかけとなるプロセス①の金属と接触さえしなければ金属アレルギーにならないはずですよね。もっともなご意見なのですが、そうは問屋が卸さない例をひとつだけ。腕時計のバンドを金属製から革製に替えて、金属アレルギーを避けたつもりが、かゆみが出てくる摩訶不思議な現象があります。革(レザー)は、なめしの過程で6価クロムが使われているため、革製品が汗をかく部分に接触すると、4大アレルギー金属であるクロムの影響によってかゆくなることがあるんです。何と手袋や靴などでも同様な発症事例が報告されています。ちなみにクロムには3価と6価の2種類があって、6価の方はアレルギーの原因になる悪者ですが、逆に3価は人体に必要なミネラルなんだそうです。まさに表裏一体ですね。
実は人の身体や健康と金属の関係はわからないことだらけなんです。とても身近なアルミニウムでさえ、健康を維持するために必要な金属(必須元素)なのか、はたまたそうでないのか、はっきりした結論が出ていないんです。私達が金属ともっと親しい関係を築いていくためには、金属が身体の中でどのようにふるまうのか、またそれによって人はどう変化するのかを深く知る必要があります。
東京工科大学では、そうした工学・医学・生体学の分野をまたぐ課題を学部が連携して解決できる、素晴らしい環境が整っています。工学部機械工学科は、金属アレルギーのような私達の生活に密着した難しい問題にも、エンジニアリングの立場から果敢にチャレンジするアグレッシブな若者を求めています。我こそはと思われる方は、ぜひ東京工科大学工学部機械工学科へいらして下さい。
次回は機械工学科の特徴的なカリキュラムである、ものづくり系のグループワーク「機械創造基礎」をご紹介しますね。またお目にかかりましょう。
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